制作日記
——『うんこのてんし』ができるまで

なぜ「うんこ」で戦争を描くことにしたのか。取材のこと、原画のこと、迷ったこと。作者と絵描きが、絵本づくりの舞台裏を綴ります。

父に聞けなかった話を、絵本にする

今、とても後悔していることがあります。どうしてもっとちゃんと、父親に話を聞いておかなかったんだろう?——ということです。

この絵本は、私の父が子どもの頃に経験した「甲府七夕空襲」の話が元になっています。1945年7月6日の深夜、甲府の町が焼夷弾で焼かれた夜。怖くておなかが痛くなり、うんこがしたくなったから命が助かった。避難した防空壕に爆弾が直撃したから——。

信じられないような話ですが、実話です。ただ、父はこの話を私にはほとんどしませんでした。「空襲のときにうんこがしたくなった話」を聞かされたのは、孫である私の息子だけ。そして父は数年前、多くを語らないまま病気で亡くなりました。

絵本『うんこのてんし』原画。少年の頭上に舞い降りる、天使の輪と羽をもつ「うんこのてんし」
「うんこのてんし」が舞い降りる場面。この絵本の転換点です(原画)

わからない部分は、想像で埋めるしかありませんでした。同じ空襲を経験した義母やその友人に話を聞き、資料や本を読み、できるだけ当時の状況に近づけたつもりです。それでも、これはフィクションです。でも——「フツーの子ども」が経験した、本当にあった夜の話でもあります。

戦争が終わって80年以上。話を聞ける人は、どんどん少なくなっています。だからこの日記では、絵本ができるまでの過程と一緒に、「身近な人の戦争の話を聞いて、記録すること」の話も書いていくつもりです。あなたの家にも、きっと「うんこの話」みたいな、小さくて忘れられない話が眠っているはずだから。

あの夜の空の色——原画メイキング(え:松本えつを)

B-29の編隊をどう描くか。怖さと、絵本としての美しさのあいだで考えたこと。水彩の実験の様子も写真つきでお見せします。

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絵本『うんこのてんし』表紙

この物語の完成形を、ぜひ絵本で

『うんこのてんし』(さく:鎮目博道/え:松本えつを/CHICORA BOOKS)近日発売。

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